Webinar Overview

精神・神経疾患研究における大きな課題は、臨床予測性の高い動物モデル評価法の確立にあります。本セミナーでは、まず、当該領域におけるこれまでのマウス行動評価法のあり方をめぐる議論の争点と、今後必要とされる新たな方法論のキーコンセプトについて概説します。次に、近年注目されている動物モデル評価法のアプローチとして、RFID等を活用した生態観察的手法について紹介します。代表的な例として、Hans-Peter Lipp博士(Zurich大)らによって開発され、現在までに世界中で150報を超える学術研究論文で使用されてきた「IntelliCageシステム」と、その応用性の高さを生かした活用事例を紹介します。IntelliCageシステムは、RFIDによる動物個体識別技術を表現型解析手法としていち早く取り入れ、1) 実験者がマウスに接触することなく、2) 全自動でハイスループットに、3) semi-naturalisticな環境下でのマウスの行動を24時間365日継続的に観察し、4) 多様な認知的機能の評価を実施できる、という複数の利点を合わせもつことから、新たなマウス行動解析プラットフォームとして強く期待されています。このIntelliCageをはじめとした「次世代型」のマウス行動解析技術を精神・神経疾患領域研究に活用することで、どのような疾患表現型(phenotype of interest)を動物実験段階で可読化できるのか、そしてその研究成果がどのようにヒト研究の知見、臨床試験の成功率向上にリンクしていくのかについて考察します。

Presenter:
遠藤 俊裕 フェノバンス・リサーチ・アンド・テクノロジー合同会社